世田谷代官屋敷

世田谷代官屋敷
営業時間: 9:00 - 16:30(郷土資料館の開館時間)

世田谷代官屋敷は、江戸時代に世田谷にあった彦根藩世田谷領の代官を務めていた大場家の屋敷で、役宅ともなっていました。大場代官屋敷や大場家住宅とも呼ばれており、都史跡に指定されると共に、主屋と表門は国の重要文化財にも登録されています。

徳川幕府の譜代大名筆頭・井伊家が藩主を務めた彦根藩は、関東にも飛び地となる領地を持っており、その1つが世田谷(現在の世田谷区と狛江市の一部)の20村・2306石でした。この地を代官として治めていたのが、源平合戦の昔から続く旧家として知られる大場家でした。

大場家は、室町時代から世田谷城主としてこの地を治めていた吉良氏の重臣であり、元々の屋敷は元宿(現在の区役所第2庁舎の場所)にありました。現在の場所に移動したのは、1573年、当時吉良家の重臣で大場家初代当主となる大場信久の時代です。信久の孫・盛長が1633年に井伊家の代官に任命されると、その後幕末まで代々務めました。

現在の世田谷代官屋敷の建物は、7代目当主・盛政が1737年と1753年の2度に渡る工事で完成させたものです。1737年には、当時荒れ果てていたという屋敷を再建。1753年には、役向専用の建物として「書院座敷」が増築され、こちらの跡は現在の中庭の白州として残っています。また2度目の工事時には居住部分も改修されています。

世田谷代官職は元々、大場家本家の当主が幼少であったことから、分家にあたる大場市之丞家の家系が担っていました。1739年に年貢未納問題が発生したため、本家の盛政(大場六兵衛家)が代官職を引継ぎ、幕末まで続くこととなりました。

現在残る代官屋敷の最古の図面は名代官として知られ、大場家再興に尽力した10代目・弥十郎が残したものです。1804年頃に書院座敷を建て替えるために作られたもので、間取りの他に建具の寸法なども細かく記載されています。なお建て替えにはならなかった主屋の一部はこの図面には載っていません。1816年には内蔵も建てられています。

その次の当主11代目・隼之助の時代となる1854年頃には、主屋に2階座敷が増築され、1階には名主詰所が新設されました。

都内では現在まで唯一残る大名領の代官屋敷と言うことで、1952年11月に都の史跡に指定されました。

主屋の内部に関しては近代に入り改修により変化していったものの、1967年に保存のための解体修理が行われており、かつての姿を取り戻しています。なお前述の書院座敷は当初からは別に場所に移されていたものの、この解体修理時に、埼玉県入間郡毛呂山町にある武者小路実篤の「新しき村」に移築されました。

1978年1月には、主屋と表門が国の重要文化財に指定されています。この地方の大型農家として典型的な造りを持ちながらも、役職にふさわしい格式を兼ね備え、近世中期の代表的上層民家としての旧態を保持。この種の民家としてはとしては、全国的にも数少ない違例として、指定されました。住宅建造物が重要文化財に指定されたのは、都内では初めてでした。

主屋は寄棟造、茅葺の高い造りとなっており、土間廻りや広い板の間などの豪華な構造を備えています。南側は主には生活空間として使われており、茶の間や仏間、押入、部屋、納戸などがあります。北側は執務空間となっており、公務や接待のための広間や座敷、佐野奉行の巡回や社寺に御朱印を渡すために用いられていた座敷などがあります。

主屋と表門の他、1923年に建て替えられた内蔵や、庭、被疑者の取調べに使われた白州も残り、同じ敷地内には1964年に都内初の公立地域博物館として開館した区立郷土資料館もあります。

敷地の中には入ることが出来ますが、主屋は内部に入ることは出来ず、外から建物を見学するだけとなります。

2018年から2019年にかけての約1年間には、耐震補強や改修のための工事を行っています。

なお大場家は明治期以降も地元の名士として続いており、13代目当主の信続氏は世田谷区名誉区民の第1号であり、世田谷信用金庫の初代理事長でもありました。世田谷信用金庫の本店は代官屋敷の向かい側にあります。現在でも世田谷信用金庫の理事長は大場氏の当主が務めており、代官屋敷を保有している一般財団法人大場代官屋敷保存会の理事長なども歴任しています。

住所:東京都世田谷区世田谷1-29-18
郵便番号:154-0017
鉄道1:東急世田谷線 上町駅 徒歩5分
バス1:東急バス・小田急バス 上町駅 徒歩5分
スポット名:世田谷代官屋敷
よみがな:せたがやだいかんやしき
料金:無料
定休日:毎週月曜日、祝日(月曜日が祝日の場合はその翌日も)、年末年始(12月29日~1月3日)※郷土資料館の定休日
築年:1737年
駐車場:有り(無料・予約不可)。地域行事などで利用できないこともあり。

Additional Features

ホームページ

https://www.city.setagaya.lg.jp/theme/kanko/003/003/d00131362.html

Twitter

Facebook

Google+

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です