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世田谷区の川一覧

多摩川

世田谷区内には12の川が流れています。その中には「多摩川」のような大きな川もある一方、北部から東部を流れる6つの川はほとんどが暗渠化され地下を流れており、その上は多くが緑道になっています。多摩川を除く南部や西部を流れる5つの川は暗渠化されずに残っており、全て多摩川の支流となっています。

世田谷区内を流れる川を、東部の川から順番に見ていきます。

烏山川

現在の高源院(世田谷区北烏山)にある弁天池が源流とされる2級河川で、全域が世田谷区内を流れています。三宿と池尻の境辺りで北沢川と合流し、その下流からが目黒川となっています。延長は11.7kmあり、目黒川(8.0km)よりも長い川となっています。

源流の烏山にある寺町から南東に向かって流れており、芦花公園駅付近を通って環八を横切った後、経堂駅付近で東向きに流れを変え、国士舘大学世田谷キャンパスを横切り、西太子堂駅付近で北東に流れを変えます。その後、三宿と池尻の境で北から流れてくる北沢川と合流し、目黒川となります。

江戸時代には、玉川上水から分水されて「烏山用水」となり、農業用水として利用されていました。1970年代以降は暗渠化が進められ、現在はほぼ地下を通っておりその姿を見ることは出来ません。

1979年には、船橋7丁目から三宿2丁目までの間に延長6,989.9メートルの「烏山川緑道」が完成し、暗渠の上は約6割が緑道となっています。区内では最も長い緑道でもあります。千歳台の千歳温水プール付近から始まる烏山川緑道沿いには、豪徳寺、世田谷城址公園、松陰神社、円泉寺などがあり、世田谷の歴史を感じられる地域となっています。

名称 烏山川
読み方 からすやまがわ
源流 世田谷区内(高源院の弁天池)
下流 目黒川
延長 11.7km

北沢川

現在の松沢病院にある将軍池が源流の1つとされる2級河川で、全域が世田谷区内を流れています。三宿と池尻の境辺りで烏山川と合流し、その下流からが目黒川となっています。延長は5.5kmあり、烏山川のほぼ半分ほどの長さとなっています。

源流の松沢病院付近から南東に向かって流れており、経堂駅の北の赤堤1丁目付近で北東に向きを変えて小田急線に沿うような形で進み、梅ヶ丘駅付近で小田急を横切り南東に向きを変えます。環七を横切って東に進んだ後、池尻4丁目付近で南に向きを変えて、三宿と池尻の境で南西から流れてくる烏山川と合流し目黒川となります。

江戸時代には、玉川上水から分水されて「北沢用水」となり、農業用水として利用されていました。1970年代以降は暗渠化が進められ、現在は全域が地下を通り、「北沢幹線」として下水道に利用されています。

暗渠の上には緑道が整備され、赤堤7丁目から三宿2丁目までの間に延長4,263メートルの「北沢川緑道」が整備されています。経堂駅付近からのレンガ舗装とユリの木並木や、環七から淡島通りまで約150本の桜が続く桜並木など、四季折々の草木や花々が楽しめるようになっています。

また環七から目黒川緑道合流点までは、かつてのせせらぎを復活させる働きが住民参加で行われ、1994年から整備を開始。現在は代沢せせらぎ公園として、せせらぎが復活しています。ここを流れる水は北沢川の水ではなく、新宿区の落合水再生センターで水質向上の処理をされた再生水が地下を通って池尻北広場まで送られ、代沢せせらぎ公園の地下に設置されている浄化施設で浄化して利用されています。

名称 北沢川
読み方 きたざわがわ
源流 世田谷区内(松沢病院の将軍池)
下流 目黒川
延長 5.5km

目黒川

烏山川と北沢川が合流し、目黒川となります。目黒川は目黒区内で世田谷区内から流れてきた蛇崩川と合流し、品川区に入り東京湾に注ぐ2級河川です。延長は8.0kmですが、そのうち区内を流れるのは0.5kmほどとなります。

区内では全体が暗渠化されています。烏山川緑道と北沢川緑道が合流する地点からは延長506メートルの「目黒川緑道」となり、2つの緑道を流れているせせらぎも合流して続きます。

目黒川緑道は、2009年に目黒区内の国道246号線までの区間が完成。目黒区内の長さは約100メートルほどですが、目黒川の暗渠化は、この国道246号線の大橋の部分で終わり、そこからは河川が続いています。この付近はちょうど世田谷区の区界辺りでもあり、東急・池尻大橋の駅がある東側部分です。ここから下流の目黒区内は都内でも屈指の桜の名所として知られています。

目黒川は1980年代までは都市型水害も多発していましたが、河川改修や流域の整備により、水害は激減しました。目黒川緑道は水辺の環境が整備されており、かつての川であった時代を偲ばせるものとなっています。

名称 目黒川
読み方 めぐろがわ
源流
下流 東京湾
延長 8.0km(区内は約0.5km)

蛇崩川

旧弦巻村、現在の弦巻5丁目付近を源流とする2級河川で、区内を通り目黒区に入った後、目黒川に合流します。蛇崩(じゃくずれ)という地名は、世田谷区ではなく目黒区にかつてあった地名で、明治期から1932年の目黒区誕生まで使われており、現在の祐天寺1丁目1番から21番、上目黒4丁目1番から26番・28番から45番辺りが該当します。なお、世田谷区によると、「流れる形が赤土の地層を崩したように蛇行している」ことが川名の由来との説もあるそうです。

弦巻の源流から中央図書館付近を東向きに通り、上馬5丁目付近からは北東に向きを変えます。三軒茶屋公園付近で南東に向きを変えた後、玉川通りを横切り、下馬4丁目付近からは北や南にジグザグしながら、下馬1丁目から隣の目黒区に入っていきます。延長は5.1kmとなり、そのうち約4分の3ほどが世田谷区内を通っています。

かつては玉川上水からの入水もあったとされ、流域は水田地だった時代もありましたが、1970年代以降は暗渠化が進められ、現在は区内は全域が地下を通り、下水道に利用されています。

暗渠の上には緑道が整備されており、駒沢2丁目から下馬1丁目までの間に延長2,990メートルの「蛇崩川緑道」が整備されています。緑道沿いには、小泉公園、三軒茶屋公園、世田谷丸山公園、駒繁公園など複数の公園があり、約200メートル続くフジ棚などとともに、花々や緑を楽しむことが出来ます。

名称 蛇崩川
読み方 じゃくずれがわ
源流 世田谷区内(旧弦巻村)
下流 目黒川
延長 5.1km(区内は約4分の3)

呑川

桜新町の旧厚木道にあった品川用水からの漏れ水や、深沢周辺の湧水の池から流出した水が合流して源流となった2級河川で、目黒区、大田区を通りそのまま東京湾に注いでいます。

桜新町駅付近の源流から新町と深沢の間を南東に向かって流れ、日本体育大学・世田谷キャンパスの横を通り、三島公園辺りでやや東向きに方向を変え、深沢1丁目から目黒区に入ります。延長は14.4km、うち世田谷区内は約2kmとなっています。

区の東部を流れる他の河川同様、1970年代代以降は暗渠化が進められ、現在は区内全域が地下を通り、下水道に利用されています。

区内の暗渠の上には、上流に親水公園、下流に緑道が整備されています。

呑川親水公園は、玉川通りと駒沢通りの間にあり、駒沢8丁目から7丁目までの870mの区間です。この部分は下水管を両側の側道の下に敷設しながら、川の部分にはせせらぎが流れています。1989年に着工し、1993年に完成しました。呑川の下流の水には、前述の落合水再生センターの処理水が使われていますが、親水公園の水は、雨水や川底からの湧水、無原罪特別保護区の池の湧水などが利用されており、これらが親水公園内の貯水槽に貯められて、ポンブで循環しています。

呑川緑道は1977年に完成しました。駒沢通りから目黒区までの区界まで続いており、深沢5丁目から深沢1丁目までの1152.6mの区間です。なお緑道は目黒区に入っても続いており、東急・緑が丘駅付近まで約1km続いた後、九品仏川と合流して暗渠が終わります。呑川緑道はその後も河口まで続き、目黒区内では約9kmの長さがあります。

名称 呑川
読み方 のみかわ
源流 世田谷区内(桜新町付近)
下流 東京湾
延長 14.4km(区内は約2km)

九品仏川

浄真寺(九品仏)の周囲にあった水田地帯の水が集まり源流となった2級河川。浄真寺周辺はかつて湿地帯で、大きな九品仏池もありました。周辺の地形から、昔は谷沢川と繋がっていたと考えられていますが、流路が変わり現在は別々の川になっています。流路変更の理由は、自然的と人為的をを含めていくつか説があるものの、はっきりとは分かっていません。

元々の源流は分からないものの、現在では浄真寺の北側にあるねこじゃらし公園付近を源流として、奥沢7丁目から奥沢5丁目を目黒区との境を沿うような形で東に流れ、そのまま目黒区に入り、緑が丘駅付近で呑川に合流します。延長は2.6kmの短い川で、そのうち区内を流れるのは約1kmほどです。

こちらも1970年代代以降は暗渠化が進められ、現在は区内は全域が地下を通り、その姿を見ること出来ません。なお、かつてはサギソウの自生地であり、大正時代まではサギソウを見ることが出来ました。浄真寺の場所はかつての奥沢城の場所であり、区の花である「サギソウ」伝説の地でも知られています。

暗渠の上には、世田谷区から目黒区にかけて伸びている九品仏川緑道が1974年に完成しています。九品仏川緑道といえばどちらかと言えば自由が丘駅付近の目黒区側のほうが知られており、長さも、世田谷区側は736mに対し、目黒区側は921mと、全体の半分以上は目黒区を通っています。九品仏側緑道の管理は、自由が丘1丁目5番から西側が世田谷区となっており、区内では奥沢7丁目から奥沢5丁目に渡って続いています。

名称 九品仏川
読み方 くほんぶつがわ
源流 世田谷区内(浄真寺付近)
下流 呑川
延長 2.6km(区内は約1km)

仙川

仙川

小金井市貫井北町に水源がある1級河川です。小金井市から武蔵野市、三鷹市を流れて調布市に入り、調布市仙川町などを経て、給田3丁目から世田谷区に入ります。

かつては川底の至る所から湧水が湧き出す水量豊かな川であり、湧水の湧き出す部分を指す「釜」をいくつも伏せたように見えたことから、千の釜、千釜、「せんかま」がその名の由来とも言われます。現在は河川整備により三鷹市より上流の部分は都市排水路となり、普段は水が流れていないません。三鷹市からは水量が増えて天然河川となります。

給田3丁目から区内に入った後は京王線を横切りしばらく南東に流れた後、上祖師谷で南へ向きを変え、祖師谷公園の中を通ります。その後、成城と祖師谷の間を沿うように流れて成城学園の横を通り、成城学園前駅の東側で小田急を横切ります。続いて成城と砧の境を沿いながら流れ、大蔵3丁目に入り世田谷通りを超えて南下。東名高速を越えて大蔵と岡本の間を沿いながら流れ、鎌田に入り、鎌田3丁目で野川に合流します。

世田谷区内では天然河川が流れていますが、基本的には洪水対策のために改修工事が行われており、垂直のコンクリート護岸で覆われた川岸が続くため、水辺にはほとんど近づくことが出来ない川となっています。公園の真ん中を仙川が通る祖師ヶ谷公園では親水テラスがあり、川までは行けないもののすぐ近くまで降りることが出来、イベントなども開催されています。

総延長は20.9kmあり、うち世田谷区内は約6.3kmとなっています。

名称 仙川
読み方 せんがわ
源流 小金井市内
下流 野川
延長 20.9km(区内は約6.3km)

野川

国分寺市東恋ヶ窪に水源がある1級河川です。小金井市から調布市、三鷹市を通り、再度調布市に入った後、調布市と狛江市の境付近を沿いながら流れ、世田谷区に入る直前で入間川と合流して、成城4丁目と喜多見9丁目の境を沿うように世田谷区に入ります。

世田谷区内に入った後は南東に進みながら、喜多見駅の東側で小田急を横切り、世田谷通りを越えて喜多見7丁目に入ります。次大夫堀公園の脇を通った後に南向きへ流れを変えて、東名を越えると再び南東方向に進み、鎌田3丁目で仙川が合流。仙川合流後はしばらく多摩川と併走するように流れながら、玉川通りを横切り、東急・二子玉川駅のホームと重なるような場所、玉川1丁目で多摩川に合流します。総延長は20.2kmあり、うち世田谷区内は約5.0kmとなっています。

野川は、かつては現在よも西側を通っており、河川改修により、主に狛江市より下流の流路が変わっています。

以前は度々氾濫するあばれ川として知られており、1958年の台風22号により流域に大きな被害が出た後、世田谷、国分寺、小金井、三鷹、調布、府中、狛江の自治体により準用河川の「改修促進期成同盟」が結成されて全面的な改修への話し合いが始まりました。1961年に都市計画が決定した後に着工。1966年の台風4号での大きな被害により工事の速度が速められ、翌1967年に現在の野川が完成しました。

世田谷区内では、現在は区に入る直前で入間川と合流していますが、改修前は、現在では野川緑道が通っている付近は入間川が南北に通っており(実際の入間川は、現在の野川より西側にあり、きたみふれあい広場の西側を通っていた)、その入間川は小田急線を越えて世田谷通り付近でかつての六郷用水に注いでいました。

六郷用水は、江戸時代に開削された用水路で、多摩川の水を取水して現在の狛江市から世田谷区を通り、大田区までを結んでいました。この六郷用水、開削当時は、指揮を執っていた小泉次大夫の名前を取って「次大夫堀」と呼ばれていました。この名前は、かつての用水跡地にあり、復元された用水もある「次大夫堀公園」に受け継がれていたりもします。近年まで農業用水として利用されていましたが、1945年に廃止されました。

六郷用水は、その一部が後述する丸子川になっていたりしますが、1970年代までには大半が埋め立てられて消滅しています。

旧野川は、狛江市内でこの六郷用水に接続しており、区内には、現在は滝下橋緑道が整備されている場所から入ってきていました。滝下橋緑道は、この部分を通っていた旧野川の流路(旧大郷用水堀)を緑道としたもので、1978年に完成。総延長は約306mの緑道です。

滝下橋緑道は現在の野川に接続する場所で終了していますが、かつては旧野川(六郷用水)と北から流れてきた入間川がこの付近で合流していました。その後、次大夫堀公園を過ぎて現在の東名高速が通る辺りで六郷用水から分水し、現在と同じような流れで多摩川に注いでいました。

現在区内を流れる野川は改修工事による人工河川となっていますが、その流路は、旧入間川と六郷用水を引継いだような形となっています。

なお、六郷用水開削前の野川は、旧野川の流路とももう少し違い、現在の宇奈根付近で多摩川に接続していたそうです。六郷用水の開削により東向きに流路を変え、入間川と合流するようになりました。

先にも出てきた野川緑道は、野川が区内に入る辺り(喜多見9丁目)から整備された緑道で、1997年には隣接する小田急の電車基地の屋上部分に「きたみふれあい広場」も整備されており、総延長は718mの緑道となっています。

名称 野川
読み方 のがわ
源流 国分寺市内
下流 多摩川
延長 20.2km(区内は約5.0km)

谷戸川

元々は現在の大蔵給水所や笠森公園辺りの、かつては東山野と呼ばれていた丘の北麗から湧き出す泉が源流だった河川。成城警察署付近が水源だったと言われています。現在は山野小学校の脇から開渠となっており、それより上流は暗渠化されています。

山野小学校脇から南に流れ、草山公園付近で南東に向きを変え、砧1丁目で世田谷通りを越えます。その後南に向きを変えて砧公園に入り、以降はジグザグしながら流路が流れていきます。東名を横切り静嘉堂文庫の脇を通り、丸子川に合流します。

砧公園に入るまでは、住宅街の中を通る細い流れが続いており、一部は水路蓋もされて流れが見えない部分もあります。

かつての水辺の姿が失われ水質も悪化したことから、水辺の空間を残し再生するため、砧公園の地下に1994年に谷戸川浄化施設が作られました。砧公園内にはかつての自然に近い形で流路が流れていますが、浄化施設で浄化された水が、公園内の滝から流れ出しており、水質も改善しました。

この浄化施設もあり、砧公園より上流と下流では川の雰囲気も変化します。またさらに下流に進むと、静嘉堂緑地からの湧水が加わり、2008年度からは仙川浄化施設からの導水も行われており、水量が増えています。

なお六郷用水が出来る前までは、現在の谷沢川の上流にあたり、六郷用水により分断されたような形となっています。

名称 谷戸川
読み方 やとがわ
源流 世田谷区内(千歳台)
下流 丸子川
延長 3.4km

丸子川

江戸時代に開削され、開削当時は次大夫堀と呼ばれ、その後六郷用水として農業用水として利用されていた用水の中流部分が残った1級河川です。

先にも出てきた六郷用水は、現在の狛江市和泉付近の多摩川から取水し、その後、野川、入間川、仙川など流域にある川からも取水しながら世田谷区を通り、大田区六郷まで流れていた用水です。総延長は約23kmありました。都市化により水田が無くなっていったことで、1945年に廃止された後、1970年代までは埋め立てや下水道化によって姿を消していきました。

丸子川はこの六郷用水のうち、世田谷区内の仙川より下流の部分が残って名前を変えたものです。

上流端は、岡本3丁目の仙川との接点部分となります。この部分の源流は仙川ではなく、大蔵住宅と東名高速下の湧水が源流となっています。その後は国分寺崖線に沿いながら多摩川と並行するような形で南東に流れ、静嘉堂文庫の先で谷戸川と合流。続いて瀬田と玉川の境を沿うように流れながら、玉川通り、東急・田園都市線、東急・大井町線を越えて、上野毛3丁目に入ります。野毛で第三京浜を越えた後、野毛1丁と等々力1丁目の境付近で、北にある等々力渓谷から流れてきた谷沢川と一旦合流します。

そこから、谷沢川の水をポンプアップして東向きに分かれ、目黒通りを越えて、尾山台1丁目から大田区に入っていきます。大田区に入った後は、東急・多摩川駅の先で多摩川と合流します。延長は7.3km、うち世田谷区内は約5.4kmとなっています。

仙川との接点部分となる上流端付近には丸子川親水公園が整備されており、せせらぎが流れています。

名称 丸子川
読み方 まるこがわ
源流 世田谷区内(大蔵団地付近)
下流 多摩川
延長 7.3km(区内は約5.4km)

谷沢川

用賀6丁目付近の湧水池が水源だったと言われている1級河川です。もう少し北の桜丘4、5町目の湧水や、付近の品川用水からの漏水も水源と言われていますが、現在では上流部分は暗渠化されており、川の姿は用賀4丁目の首都高の下にある田中橋から見ることが出来ます。

首都高の下を南東にしばらく進んだ後、玉川通りを越えてやや南方向へ向きを変え、用賀1丁目、中町5町目を通り、駒沢通りを横切り南に向きを変えます。東急・大井町線を越えて南東に向きを変えた後、等々力駅の手前で南に向きを変え、等々力渓谷へと入っていきます。等々力渓谷を出た後は、野毛・等々力1丁目付近で西から流れてきた丸子川と合流。そのまま南に流れ、玉堤2丁目で多摩川に合流します。延長3.7kmの短い川で、等々力渓谷を流れる川として知られています。

現在の主な水源には、大蔵6丁目と岡本3丁目の辺りを流れている仙川にある浄化施設で浄化された、仙川の水が導水されており、ここに等々力渓谷の湧水が加わっています。

谷沢川や前述の丸子川では、近年も台風や集中豪雨により床上・床下浸水となる水害が度々発生しています。そのため2018年度から都の建設局により、「谷沢川分水路」の建設が進められています。この分水路は地下約15~30mの場所に、直径約6mのトンネルが掘られて建設が進められています。谷沢川が玉川通りと交差する付近の玉川台広場の取水施設から取水し、玉川通りから区道の地下を通り、続いて環八の地下を南下。第三京浜の入り口付近で環八を離れてさらに南下し、都立園芸高校玉川果樹園にある放流施設から谷沢川に放流しています。延長は約3.2km、2024年度に完成予定となっています。

名称 谷沢川
読み方 やざわがわ
源流 世田谷区内(用賀6丁目付近)
下流 多摩川
延長 3.7km

多摩川

山梨県甲府市の笠取山を水源とし、東京都、神奈川県を流れて東京湾に注いでいる1級河川です。全長は138kmあり、全国で109ある1級河川の中では25番目の長さとなっており、区内を流れる川では最も知名度がある川と言えます。

区内では、隣接する神奈川県川崎市との境となる区南東端に沿って流れています。区と川崎市の境にはずっと多摩川が続く形となっており、約6.3kmほどの長さとなっています。この間はくねくねと流れる形となっており、はっきりと世田谷区側に入って流れるのは、喜多見、宇根津、野毛辺りです。

宇根津公園から下流は河岸に緑地や公園が広がっており、二子玉川緑地運動場、兵庫島公園、二子玉川公園、野毛二丁目さくら公園、多摩川遊園、多摩川玉川公園等と続いています。

古くから大河のため灌漑への利用は難しく、氾濫が多い川として知られており、流れも度々変わっています。そのため、世田谷区の等々力と川崎市中原区の等々力のように、かつては1つだったもののその後分断されたり、対岸を同じ地名に呼ぶようになったりと、現在では川の両岸に同じ地名がある場所もいくつかあります。区内では他にも、宇根津の対岸には、川崎市高津区宇根津があり、野毛の対岸には、高津区下野毛があります。

昔から遊楽の名勝地ともなっており、江戸時代には将軍の遊覧地でもありました。眺望で知られた瀬田の行善寺は、「行善寺八景」や「玉川八景」ともうたわれ、将軍遊覧時の休息地となっていました。江戸時代までは、軍事的な理由や技術的な理由から橋が架かっておらず、区内にも川崎側とを結ぶ船での「渡し」が複数あり、「登戸」「二子」「丸子」の渡し等が知られていました。

二子玉川の南地区は、多摩川下流で唯一堤防がない地域として近年まで残っていました。二子玉川駅高架下から下流部分は、地元住民との裁判もあったものの2014年度に堤防が完成。上流部分の約300メートルが最後まで残った未堤防区間となっていましたが、2019年の台風19号では大きな被害が出たため、その後堤防工事が加速。2024年度までには堤防が完成することとなっています。

昔から世田谷の歴史とも深い関わりがあった多摩川ですが、こういった堤防工事もあり、近年になり風景が大きく変わった場所でもあります。

名称 多摩川
読み方 たまがわ
源流 山梨県甲府市
下流 東京湾
全長 138km(世田谷区と神奈川県の境は約6.3km)

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