静嘉堂文庫美術館(移転)

※静嘉堂文庫美術館は2022年10月に東京・丸の内に移転しました。以下の記事は移転前の内容となります。

静嘉堂文庫美術館は、世田谷区岡本の岡本公園近くにある美術館で、旧三菱財閥の2代目総裁・岩崎弥之助とその長男で財閥4代目総裁の小弥太によって設立されました。「静嘉堂」は「詩経」から採られた弥之助の堂号です。

三菱財閥の創設者・岩崎弥太郎の弟で2代目総帥だった弥之助は、西欧化に偏重していった明治期に、自らが愛していた東洋固有の文化財の散亡を怖れ、1887年頃から美術品の収集を開始し、その活動は小弥太に引き継がれてさらに拡大されました。

「静嘉堂」は文庫という名前だけあって、書籍の収集から始まっています。元々は1892年、弥之助が神田駿河台の岩崎家邸内に創設した文庫が起源となっており、1911年には小弥太が岩崎家の高輪別邸(現・開東閣)に移転しました。そして1924年、弥之助の17回忌に当たり、J・コンドル設計の納骨堂がある弥之助の墓の側にある現在の場所に文庫が立てられ、書籍の収集が続けられました。1940年には、収集された貴重な図書を一般に公開して研究用に広く利用してもらうため、蔵書や土地建物など一切を寄付して財団法人静嘉堂を設立し、岩崎家の家財から切り離されました。

現在美術館に収蔵されている美術品は、1945年の小弥太の死後、国宝や重要美術品を中心として孝子夫人から財団に寄贈されたもので、1975年に孝子夫人が亡くなると、同家に残されていた全ての収蔵品と鑑賞室などの施設が小弥太の婿養子であった岩﨑忠雄から寄贈されました。

第二次世界大戦後は一時期国会図書館の支部図書館となっていた時期もあったものの、1970年からは三菱グループ経営の私立図書館となり、1977年から図書館付属の展示室「静嘉堂文庫展示館」で美術品の一部を一般公開してきました。1992年、静嘉堂創設100周年を記念して新館が建設され、「静嘉堂文庫美術館」がオープンしました。

岩崎彌之助の収集品が絵画、彫刻、書跡、漆芸、茶道具、刀剣など広い分野にわたるのに対して、小彌太は、特に中国陶磁を系統的に集めている点が特色となっています。また、明治から昭和前期にかけての、彌之助・小彌太と同時代の作家たちの作品も多数所蔵しています。(作品写真の上でクリックしてしてください。拡大画像と作品解説がご覧頂けます。)

美術品は、絵画や彫刻から刀剣、文房具まで幅広く及んでいますが、小弥太は特に陶磁器を多く集めており、中国陶磁が系統的に集められている点も特徴と言えます。古典的な作品だけでなく、明治から昭和初期にかけて弥之助・小弥太父子と同時代を生きていた作家たちの作品も多数あります。

国宝には、美術館を代表する収蔵品であり世界に3点(もしくは4点)しか現存していない中国・南宋時代の茶碗「曜変天目(稲葉天目)」のほか、「俵屋宗達筆 源氏物語関屋澪標図屏風」「伝馬遠筆 風雨山水図」「倭漢朗詠抄 太田切」「趙孟頫筆 与中峰明本尺牘」「手掻包永太刀」「因陀羅筆 楚石梵琦題詩 禅機図断簡 智常禅師図」があります。

収蔵品は年に4~5回開催される展覧会でテーマ別に公開されており、常設展示はないため展覧会時期以外は休館となっています。また、展覧会によって展示作品が異なるため、目当ての作品が展示されているかどうかは事前に確認が必要です。

収蔵品だけでなく、日本人初の英国公認建築士で旧三菱銀行本店や成蹊学園本館などを手掛けた桜井小太郎が設計し、東京都選定歴史的建造物に指定されている建物や、その庭園も見どころ言えます。

最寄りの駅は二子玉川駅ですが、歩くと住宅街を抜けて約20分ほどはかかるため、二子玉川か成城学園前からバスを利用したほうが良いです。美術館の前には無料の駐車場があるため、車でのアクセスもできます。

住所:東京都世田谷区岡本2-23-1
郵便番号:157-0076
電話番号:03-5777-8600
鉄道1:東急田園都市線 二子玉川駅 徒歩21分
バス1:東急バス 静嘉堂文庫 徒歩5分
バス2:東急・小田急バス 吉沢 徒歩10分
スポット名:静嘉堂文庫美術館
よみがな:せいかどうぶんこびじゅつかん
料金:一般:1,000円、大高生:700円、中学生以下無料
定休日:毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日)。※展覧会期間以外は休館、常設展示はなし。
駐車場:無料、約20台。

Additional Features

ホームページ

http://www.seikado.or.jp/

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メモ: 10:00 - 16:30(入館は16:00まで)

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